3-1. ビジネス入門

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ビジネスの世界に踏み込むにあたり、僕は生活に慣れていたドイツ国内で就職先を探しました。そして、日本食材を扱う商社で、欧米を管轄するスーパーバイザー候補としてインターン入社することになりました。ケルンで1年間の研修プログラムを受け、僕はここで食品やお酒についての体系的な知識を学びました。

この研修の最中、僕はグループ傘下のレストランで調理をしていた日本人女性に一目惚れをします。知り合って1週間後に付き合い、1か月後に婚約します。彼女は店内でハラスメントの問題を抱えていたため、僕は状況が変わるよういろいろ試みました。しかし状況を変えることはできず、僕たちは一緒に退職することを決意します。

今後の家族計画や自分でビジネスを始める可能性を鑑みて、僕は彼女を連れて日本に帰国します。学際的な環境に身を置いてきた経験が買われて、僕はつくば市で研究支援事業を担うベンチャー企業に入社することができました。仕事と住居が決まるとすぐ、僕たちは結婚しました。

マネジメントを強く意識していたこともあり、僕は入社して数か月後には事業部のマネージャーを任されました。現任の女性マネージャーが家庭の事情でしばらく休職することになり、丁度ポストが空いたタイミングでした。このころ僕に第1子が誕生します。

事業部は独立採算であったため、僕はマネージャーとして20代から50代までの幅広い年齢の社員と共に、フロントの営業活動からコーディネーターとしての案件対応、支払・請求処理を含めたバックオフィス全般の管理に関わりました。また他部署に先駆け業務のDX化を推進し、FileMakerを使って基幹業務DBを自ら構築しました。

このとき僕はITが及ぼす事業へのインパクトの大きさを実感します。ITの知識をしっかり身に着け事業に生かすことは当然として、プロの立場で大規模なシステム開発に携わりたいと考えるようになります。プロジェクトマネジメントについて体系的に学び始めたのはこの頃です。僕は大手企業で仕事ができるチャンスを探し始めます。

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