国民の休日の趣旨と由来

国民の休日とは、日本の法律[国民の祝日に関する法律(以下、祝日法):1948年(昭和23年)法律第178号]第2条で定められた祝日です。

1月の祝日

元日:1月1日

祝日法では「年のはじめを祝う」ことを趣旨としています。毎年1月1日の早朝、天皇が天地四方の神祇を拝し、年災消滅、五穀豊穣を祈る、四方拝(しほうはい)が元になっています。なお、元旦(がんたん)ともいわれますが「元旦」は元日の朝を指す言葉です。

成人の日:1月第2月曜日

祝日法では「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」ことを趣旨としています。元服の儀と呼ばれる奈良時代以降に行われてきた通過儀礼が元になっています。

2月の祝日

建国記念の日:2月11日

祝日法では「建国をしのび、国を愛する心を養う」ことを趣旨としています。初代天皇とされる神武天皇の日本書紀における即位日が由来となっています。

天皇誕生日:2月23日

祝日法では「天皇の誕生日を祝う」ことを趣旨としています。天皇誕生日の祝日は大正天皇の例を除き実際の誕生日と同じであり、天皇の即位に合わせて祝日は変わります。

3月の祝日

春分の日:春分日

祝日法では「自然をたたえ、生物をいつくしむ」ことを趣旨としています。天文観測から春分が起こる春分日が選定され休日となります。通例、3月20日または3月21日になります。

4月の祝日

昭和の日:4月29日

祝日法では「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」ことを趣旨としています。昭和天皇の誕生日が元になっています。ゴールデンウィークを構成する祝日のひとつです。(2006年までは4月29日は「みどりの日」とされていました。)

5月の祝日

憲法記念日:5月3日

祝日法では「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」ことを趣旨としています。日本国憲法が1947年(昭和22年)5月3日に施行されたことを記念し制定されました。ゴールデンウィークを構成する祝日のひとつです。

みどりの日:5月4日

祝日法では「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心を育む」ことを趣旨としています。この5月4日は憲法記念日とこどもの日に挟まれる平日でしたが、国民の休日として「みどりの日」とされました。(2007年に「みどりの日」は4月29日から5月4日に移されました。)

こどもの日:5月5日

祝日法では「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」ことを趣旨としています。男子の健やかな成長を祈願し各種の行事を行う風習のある端午の節句と同日の5月5日に制定されているが、趣旨は同じではありません。

7月の祝日

海の日:7月第3月曜日

祝日法では「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを趣旨としています。1876(明治9)年に明治天皇が東北巡幸の際、灯台巡視船「明治丸」で横浜港に帰着された日が7月20日であったことが由来です。

8月の祝日

山の日:8月11日

祝日法では「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としています。山の日は、2016年から施行されている国民の祝日で、海の日の制定をきっかけに、日本山岳会が提唱し、主要な山岳団体が連携し成立に至りました。

9月の祝日

敬老の日:9月第3月曜日

祝日法では「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを趣旨としています。1947年(昭和22年)9月15日に兵庫県多可郡野間谷村(現在の多可町八千代区)で開催された、「老人を大切に、お年寄りの知恵を借りて村作りをしよう」という趣旨の「敬老会」が始まりとされています。

秋分の日:秋分日

祝日法では「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。」ことを趣旨としています。天文観測による秋分が起こる秋分日が選定され休日となりました。通例、9月22日または9月23日になります。

10月の祝日

スポーツの日:10月第2月曜日

祝日法では「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う。」ことを趣旨としています。1964年(昭和39年)に東京オリンピックの開会式が行われた10月10日を「体育の日」に定め国民の祝日とし、2000年(平成12年)から移動祝日になり、2020年(令和2年)に現在の名称となりました。

11月の祝日

文化の日:11月3日

祝日法では「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨としています。1946年(昭和21年)に日本国憲法が公布された日であり、日本国憲法が平和と文化を重視していることから「文化の日」と定められました。公布から半年後の1947年(昭和22年)5月3日に日本国憲法は施行されているため、5月3日は憲法記念日として国民の祝日となっています。

勤労感謝の日:11月23日

祝日法では「勤労をたっとび、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう」ことを趣旨としています。天皇がその年の収穫を神に感謝し、五穀豊穣を祈る新嘗祭(にいなめさい)を由来としています。戦後、労働を大切にする意識や人権を尊重する文化の醸成を目的として、1948年に「勤労感謝の日」として国民の祝日となり、広く労働や生産活動に携わる人々に対する感謝の日として定められました。

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