お酒の種類について

お酒の分類(醸造酒、蒸留酒、混成酒)

お酒は製造方法の違いにより、大きく醸造酒、蒸留酒、混成酒の3つに分類ができます。

醸造酒 蒸留酒 混成酒
ビール
日本酒
ワイン
ウイスキー
ウォッカ
焼酎
リキュール
梅酒

醸造酒の製造工程(ビール、日本酒、ワイン)

醸造酒の製造工程は、基本的に原料の発酵を通じてアルコールを作るプロセスです。

ビール 日本酒 ワイン
1. 原材料の準備 大麦(麦芽)、ホップ、水が主な原料です。麦芽は発芽させてから乾燥させます。 米、水、酵母が基本的な原料です。米は精米してから使います。 ブドウが原料です。収穫後、果実をつぶして果汁を取り出します。
2. 糖化
デンプンを含む原料から糖を作るために、糖化という工程が行われます。
麦芽に含まれる酵素がデンプンを糖に分解します。 日本酒では、米に麹菌を加えて糖化させます。麹菌が米のデンプンを分解して糖を作ります。 ブドウはもともと糖を含んでいるので、糖化工程は不要です。
3. 発酵
原料から得られた糖分に酵母を加えて発酵させます。酵母は糖をアルコールと二酸化炭素に分解し、アルコールを生成します。発酵期間や温度によって風味が変わります。
発酵期間は数日から1週間程度で、発酵温度が重要です。ラガービールは低温、エールビールは高温で発酵します。 発酵は「並行複発酵」と呼ばれ、糖化と発酵が同時に進みます。通常2~3週間かかります。 発酵期間は数週間で、発酵温度が赤ワインと白ワインで異なります。赤ワインは高温、白ワインは低温で発酵します。
4. 熟成
発酵後、一定期間熟成させて風味を整えます。
ラガータイプは低温で数週間熟成させることが多いで 貯蔵期間が長いほど、まろやかさが増します。新酒と熟成酒で味わいが異なります。 赤ワインは樽で数カ月から数年熟成させることが多く、白ワインは比較的短期間の熟成が一般的です。
5. 濾過・瓶詰め
発酵や熟成が終わると、酵母や不純物を濾過して取り除き、透明で均一な液体にします。
濾過後、炭酸ガスを加えて瓶詰めします。 濾過後、加熱して殺菌を行い、瓶詰めします。 赤ワインは濾過を最小限に抑えることもあり、瓶詰め後も熟成が進む場合があります。

醸造酒は「原料の準備→糖化→発酵→熟成→濾過・瓶詰め」という一連の工程を経て作られます。製造過程の違いによって、味わいや風味が大きく変わることが特徴です。

蒸留酒の製造工程(ウイスキー、ウォッカ、焼酎)

ウイスキー ウォッカ 焼酎
1. 原材料の準備 大麦やライ麦、トウモロコシなどの穀物が主な原材料です。穀物を粉砕し、麦芽を作るために発芽させる工程(モルティング)が含まれます。 原材料は主に穀物(大麦、ライ麦、トウモロコシ)やじゃがいもです。ウォッカは特定の風味を求めないため、純度の高いアルコールを作るために澱粉質が豊富な原料が選ばれます。 大麦、米、さつまいも、そばなど、さまざまな農産物が使われます。原材料によって風味が大きく変わります。
2. 糖化
デンプンを含む原料から糖を作るために、糖化という工程が行われます。
麦芽(モルト)に含まれる酵素がデンプンを糖に分解します。 酵素や加熱を使って「糖化」のプロセスを行います。 麹菌でデンプンを糖に分解します。
3. 発酵
原料から得られた糖分に酵母を加えて発酵させます。酵母は糖をアルコールと二酸化炭素に分解し、アルコールを生成します。発酵期間や温度によって風味が変わります。
発酵は2~3日間程度行われます。発酵温度は20℃から28℃の範囲で行われることが一般的です。 発酵は2~3日間程度行われます。発酵温度は20℃から28℃の範囲で行われることが一般的です。 2日から1週間程度と幅があります。使用する原料や製造方法によって異なります。低温での発酵は、風味を引き出すのに適しています。
4. 蒸留
発酵したもろみを加熱して、アルコールと水を分離します。アルコールの沸点は約78℃、水は100℃なので、アルコールが先に蒸発します。この蒸気を冷却して再び液体に戻すことで、高アルコール度数の蒸留酒が得られます。
発酵液を蒸留してアルコールを濃縮します。通常は2回蒸留が行われ、最初の蒸留で約20%から30%のアルコール濃度に、2回目で約60%から70%の濃度に達します。 ウォッカは非常に高純度のアルコールを求めるため、何度も蒸留します。最終的には95%以上の高アルコール度数になりますが、風味はほとんど残りません。 焼酎では、単式蒸留(伝統的な方法)と連続式蒸留(工業的な方法)の2種類があり、単式蒸留は原料の風味を残し、連続式蒸留はより純度の高いアルコールを生成します。
5. 熟成
蒸留後、熟成させるかどうかは酒の種類によります。熟成により風味が深まります。
樽に詰められて長期間熟成されます。熟成にはオーク樽が使われ、木材からの成分がアルコールに移り、色や風味が深まります。最低でも3年間の熟成が必要です。 基本的に熟成は行われません。ウォッカは無味無臭が求められるため、製造後すぐに瓶詰めされることが多いです。 焼酎も熟成は行われますが、ウイスキーほど長くはありません。陶器やステンレス、場合によっては木樽での熟成が行われ、風味が整えられます。
6. 希釈とビン詰め
蒸留直後のアルコール度数は非常に高いため、飲みやすくするために水で薄めます。その後、濾過をして瓶詰めされます。
熟成後、アルコール度数を調整するために水で希釈されます。一般的には40%前後のアルコール度数に調整され、瓶詰めされます。 高濃度のアルコールを水で希釈し、40%前後に調整して瓶詰めされます。フィルターでのろ過が行われることが多く、純度を高めます。 焼酎も同様に水で希釈され、一般的には20%から25%のアルコール度数に調整されます。瓶詰め前に熟成やろ過が行われる場合もあります。

この工程によって、ウイスキーやウォッカ、焼酎、どの蒸留酒が作られます。それぞれの酒は、原料や蒸留方法、熟成期間によって風味や香りが大きく異なります。

混成酒の製造工程(リキュール、梅酒)

リキュール 梅酒
1. ベースとなるお酒の準備
混成酒はベースとなるお酒に、風味を加えるための材料を混ぜ合わせていきます。
ウイスキー、ブランデー(ワインからの蒸留酒)、ウォッカ、ラム(サトウキビ原料の蒸留酒)など。 焼酎(日本酒からの蒸留酒)やブランデー(ワインからの蒸留酒)。
2. 風味付け(浸漬)
ベースとなるお酒に、風味を加えるための材料を浸漬(しんせき)させます。風味成分がベースのお酒に移るまで、一定期間寝かせます。浸漬する材料は、酒の種類によって異なります。
フルーツ、ハーブ、スパイス、ナッツなどを漬け込みます。(例:カンパリにはビターオレンジ、アニス、ハーブなどが使われます。) 青梅を焼酎やブランデーに漬け込みます
3. 甘味や風味の調整
混成酒では、風味を整えるために甘味料や香料を加えることが多いです。これにより、バランスの取れた味わいが作り出されます。
砂糖やシロップを加えて甘味を調整します。濃厚な甘さや、軽い甘さなど、種類によって異なります。(例:ベイリーズにはクリームとカカオが加えられ、甘くまろやかな味わいです。) 浸漬後に砂糖を加えて甘味を出します。
4. ろ過と熟成と瓶詰
材料を浸漬させた後、ろ過して固形物を取り除きます。風味や甘味が調整され、ろ過や熟成が終わった混成酒は、瓶詰めされます。瓶詰め後も風味が変化することがあるため、しばらく寝かせることもあります。
浸漬が終わると、香草や果物などの固形物を取り除きます。場合によっては、短期間の熟成を行います。 梅の果実を取り除き、数か月から1年程度熟成させることもあります。

混成酒は、ベースとなる酒に様々な風味を加えているため、非常にバラエティ豊かで、甘いものから香り豊かなものまで幅広い選択肢があります。

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