前回は、Reaperで音を出す設定を確認し、曲作りの土台となるプロジェクトを作成・保存しましたね。
今回は、いよいよパソコンの中に「楽器」を導入していきます!最初に登場するのは、メタルサウンドの要、ドラムです。パソコンだけでドコドコとパワフルなドラムを鳴らすための準備をしましょう。
パソコンで楽器を鳴らす仕組み:VSTプラグインとは?
「パソコンの中で楽器の音を出すってどういうこと?」と思いますよね。それを可能にするのが「VST1プラグイン」と呼ばれるソフトウェアです。
- VSTプラグインとは?:
- 簡単に言うと、パソコン上で動作する楽器やエフェクター(音を加工する装置)のことです。ReaperのようなDAWソフトに読み込んで使います。
- ソフトウェア音源 (VSTi):シンセサイザーや、今回使うドラムのように、楽器そのものの音を出すプラグイン。
- エフェクトプラグイン (VST):ギターアンプやリバーブ(響きを加える)のように、音を加工するプラグイン。
今回は、このVSTプラグインの中から「ドラム専用のソフトウェア音源 (VSTi)」を探して、Reaperで使えるように設定していきます。
無料で使える!おすすめドラム音源「MT Power Drum Kit 2」
世の中には有料・無料、様々なドラム音源がありますが、今回は初心者の方でも導入しやすく、メタルにも使えるパワフルなサウンドを持つ無料のドラム音源「MT Power Drum Kit 2」を使ってみましょう。
- MT Power Drum Kit 2 の特徴:
- 無料で使える!(ただし、利用には簡単な手続きが必要)
- リアルなドラムサウンド。特にロックやメタル系のジャンルに向いています。
- 使いやすいインターフェース(見た目)。
- ダウンロード手順:
- 公式サイトへアクセス: まずは「MT Power Drum Kit 2」の公式サイトへ行きます。
- ダウンロードページへ:サイト内の「DOWNLOAD」や「GET IT FOR FREE」といったリンクをクリックします。
- インストーラーのダウンロード:お使いのOS(Windows / macOS)に合ったインストーラーをダウンロードします。
- Windows:VST (通常は64-bit) を選びます。.exe 形式のインストーラーか、.dll ファイルが入った .zip アーカイブがダウンロードされます。
- macOS:VST または AU (Audio Units) 形式を選びます。.pkg 形式のインストーラーか、.vst / .component ファイルが入った .zip アーカイブがダウンロードされます。
プラグインをインストールしよう
ダウンロードしたファイルを使って、プラグインをPCにインストールします。方法は主に2種類あります。
- ダウンロードした .zip ファイルを右クリックし、「すべて展開」などで解凍します。
- 解凍したフォルダの中から、プラグイン本体のファイルを探します。
- MT-PowerDrumKit.vst3
- MT-PowerDrumKit-Content.pdk
- これらのファイルを、PC内のVSTプラグイン用フォルダに手動でコピーまたは移動します。
- Windowsの一般的なVSTフォルダの場所:C:\Program Files\Common Files\VST3
- macOSの一般的なVSTフォルダの場所(例):/Library/Audio/Plug-Ins/VST3
Reaperにプラグインの場所を教えよう!
プラグインをインストール(またはコピー)できたら、Reaperに「ここにプラグインがあるよ!」と教えてあげる必要があります。
- Reaperの設定画面を開く:Options -> Preferences… を開きます。
- VST設定画面へ移動:左側のリストから Plug-ins -> VST をクリックします。
- プラグインパスの確認と追加:
- VST plug-in paths という欄に、Reaperがプラグインを探しに行くフォルダのリストが表示されています。
- 先ほどプラグインをインストール/コピーしたフォルダが、このリストに含まれているか確認してください。
- もし含まれていなければ:
- Edit path list… ボタンをクリックします。
- Add path… ボタンをクリックします。
- プラグインをインストール/コピーしたフォルダを選択し、「OK」または「フォルダの選択」をクリックします。
- 元の画面に戻ったら、追加したパスが表示されていることを確認し、OK をクリックします。
- プラグインのスキャン: パスを設定したら、Reaperにそのフォルダ内をスキャンさせて、新しいプラグインを認識させる必要があります。
- Re-scan ボタンをクリックするか、より確実に認識させるために Clear cache/re-scan ボタンをクリックします。スキャンには少し時間がかかる場合があります。
- 設定を適用:最後に Apply または OK ボタンをクリックして設定画面を閉じます。
動作確認!ドラム音源をReaperで読み込んでみよう
さあ、いよいよドラム音源がReaperで使えるか確認です!
- 新しいトラックを作成:Reaperのトラックコントロールパネル(TCP、画面左側の領域)の何もないところをダブルクリックします。すると、新しいトラックが1つ追加されます。
- FX(エフェクト)を追加:追加されたトラックにある緑色の FX ボタンをクリックします。このボタンが、トラックにVSTプラグイン(音源やエフェクト)を追加するための入り口です。
- FXブラウザから音源を選択:Add FX というウィンドウ(FXブラウザ)が開きます。
- 左側のリストで VSTi (または AUi – macOS) を選択すると、楽器プラグインのみが表示されます。
- 右側のリストに、先ほどインストールした MT Power Drum Kit 2 (または似た名前) が表示されているはずです。
- 見つけたら、その名前をダブルクリックするか、選択して OK ボタンをクリックします。
成功すれば、MT Power Drum Kit 2 のドラムセットの絵が描かれたウィンドウが表示されるはずです!ウィンドウ内のドラムキットの各パーツ(シンバル、スネア、タムなど)をマウスでクリックしてみてください。
ドシャーン!タンッ!ドコッ!
どうですか?ドラムの音が鳴りましたか?
- 音が鳴った場合:大成功です!これでReaper上でパワフルなドラムサウンドを鳴らす準備が整いました!
- 音が鳴らない場合:
- トラックのミュートボタン(M)が押されていませんか?
- トラックのボリュームフェーダーが極端に下がっていませんか?
- FXブラウザに MT Power Drum Kit 2 が表示されない場合は、手順4のプラグインパス設定とスキャンが正しく行われているか、もう一度確認してみてください。インストール先のフォルダ指定が間違っている可能性があります。
- 音源ウィンドウは表示されるけどクリックしても音が出ない場合は、Reaper自体のオーディオ設定(第2回参照)を再度確認してみてください。
今回のゴール
お疲れ様でした!今回は、
- VSTプラグイン(ソフトウェア音源)の基本を理解し、
- 無料のドラム音源「MT Power Drum Kit 2」をダウンロード&インストールし、
- Reaperにプラグインを認識させ、
- 実際にドラム音源をトラックに読み込んで音出し確認する
ところまで達成しました!これで曲作りのための強力な武器が一つ手に入りましたね。
次回予告
第04回は「魂を刻むリズム!MIDIでドラムを打ち込もう(基本ビート編)」です。いよいよ、インストールしたドラム音源を使って、実際にReaper上でドラムパターンを打ち込んでいきます。「MIDI」というデータを使って、基本的な8ビートのパターンを作成する手順を、Reaperの便利な機能も使いながら解説します。ついにあなたのオリジナルリズムが誕生します!