副詞成分

文において文全体を修飾し多彩な表現を付加する役割を持つ副詞成分について説明をします。副詞成分とは、基本的な構造を持つ文に付加的な情報をもたらし、文の持つ意味を多彩にする語の纏まりです。基本的には文の意味を壊さない程度に各場合に応じて自由に配置します。副詞成分の扱いが分かると、文の内容をより正確かつ豊かにし、基本構造から作られた文を連結させ、さらには文章全体としての体制を整えることができます。

副詞の種類

一般的な副詞

副詞は主に動詞を修飾(例文1)しますが、形容詞(例文2)・他の副詞(例文3)・文全体(例文4)など、名詞以外の全てを修飾します。通常は動詞の直後で用いますが、文意に誤解を生まない範囲で、また基本構造を壊さない範囲で状況により配置します。

  1. She speaks slowly. 彼女はゆっくりと話す。
  2. She is very beautiful. 彼女はとても美しい。
  3. He speaks Spanish very well. 彼はとても上手くスペイン語を話す。
  4. Unfortunately, I have another appointment. 残念ながら別の用事があります。

否定の副詞

否定の副詞は文意や語を否定する副詞です。否定の副詞には not があります。文意を否定する際の not の位置は、原則として、be動詞を用いている場合はbe動詞の直後に(例文1)、一般動詞を用いている場合は助動詞の do を共にして動詞の直前に(例文2)、助動詞を用いている場合は、助動詞と動詞の間に置きます(例文3)。形式的でない会話や文章では -n’t として省略された形で多く用いられます(例文4)。

  1. I was not there. 私はそこにいなかった。
  2. He did not see him. 彼女は彼に会わなかった。
  3. I could not find it. それを見付けることが出来なかった。
  4. They don’t know it. 彼らはそのことを知らない。

疑問副詞

疑問副詞は、疑問を表す副詞です。疑問文では文頭に置くが(例文1~4)、節を作ることも出来ます(例文5)。疑問副詞には how, when, where, why があります。

  1. How can I get to the station? 駅まではどうやって行けるでしょうか?
  2. When did you get married? いつ結婚したのですか?
  3. Where are you going? どちらへ行かれるのですか?
  4. Why do you study physics?なぜ物理学を学ぶのですか?
  5. I can’t understand why you did it. なぜあなたはそれをしたのか私は理解できない。

関係副詞

関係副詞とは、場所、時、理由などを表す節によって、内容を補足的に付け足す副詞成分を作る語です。関係副詞には、when(例文1), where(例文2), why(例文3) があり、それぞれ、場所、時、理由を表す副詞を説明するときに用います。先行詞を伴わずに用いる場合があります(例文3)。

  1. There are times when I wonder why I learn English. なぜ私は英語を学んでいるんだろうと思うときがある。
  2. Japan is the one of the few countries where people drive on the left. 日本は数少ない左側通行の国のうちの一つです。
  3. This is (the reason) why I learn English. これが私が英語を学ぶ理由です。

比較変化

比較変化は、程度の比較をする場合に用いられる語形です。比較変化には、より程度が大きいことを表す比較級と、程度が最も大きいことを示す最上級があります。普通、比較級は語尾を -er に(例文1)、最上級は語尾を -est とします(例文2)。固有の変化を持つ副詞もあります(表1)。三音節以上の語、形容詞に-lyの語尾を付けて作った副詞には、語尾を変化させずに、語の直前に more, most を付けます。比較級の文では、than 以降で比較の対象を示します(例文1)。

  1. He eatsfaster than I. 彼は私より速く食べます。
  2. He eats (the)fastest in his family. 家族の中で彼は食べるのが一番速いです。
  3. Anita calculated (the)most accurately. アニタが一番正確に計算しました。
規則的な比較変化 不規則な比較変化
原級 比較級 最上級 原級 比較級 最上級
fast faster fastest well better best
early earlier earliest much more most
soon sooner soonest ill worse worst

far は距離についての比較を表現する場合は farther – farthest を、程度の比較を表現する場合は further – furthest を用います。

副詞化

to不定詞

to不定詞とは動詞の原形の前に to を付けたもので、動詞を用いて副詞成分を作る働きを持ちます。原形の目的語を to不定詞の後に置くことが出来ます(例文1、5)。

  1. I will go to England to learn english this summer. 私はこの夏英語を学ぶために英国へ行きます。
  2. We work to live, not live to work. 私達は生きるために働いているのであって、働く為に生きているのではない。
  3. You were so foolish to spend so much. あなたはそんなにお金を使うなんて愚かだった。
  4. I am too busy to talk with you. 私はあなたと話をするには忙しすぎます。
  5. To make a long story short, they accepted our offer. 手短に言うと、彼らは我々の申し出を受け入れました。

形容詞 + ly

形容詞や分詞の語尾に -ly を付けることで、形容詞から副詞を作ることがあります。

  1. Children are playing happily on the beach. 子ども達が楽しそうに浜辺で遊んでいます。
  2. I stupidly left my keys in the room. 私は馬鹿みたいに鍵を部屋に置いてきてしまいました。

分詞構文

分詞構文は、分詞に導かれる句で、文全体を修飾する副詞の働きをします。分詞構文は格式的な表現で日常会話ではあまり用いられません。分詞構文に接続詞を添える場合があります。
分詞は完了の形をとることも出来ます。

  1. Looking into the room, I found nobody there. 部屋を覗いてみたら誰もいませんでした。
  2. Living near the school, I usually walk there. 学校の近くに私は住んでいるので私はいつも歩いて通っています。
  3. Turning to the right, you will see the post office. 右へ曲がると、郵便局が見えるでしょう。
  4. Waving her hand, she smiled. 彼女は手を振りながら微笑んだ。
  5. Though living near the sea, he has never learned to swim. 海の近くに住んではいるが、彼は少しも泳ぎが出来ません。
  6. Having finished the homework, I watched TV. 宿題が済んだので、テレビを見ました。

前置詞

前置詞は、名詞の前に置いて副詞句を作る語です。in, from, to, on, of などがあります。

  1. Everest is the highest mountain in the world. エベレストは世界で一番高い山だ。
  2. I’m from Japan. 私は日本からです。
  3. We’re hoping to go to Japan for our holidays this year. 私達は今年の休みに日本へ行くことを希望している。
  4. There is a picture on the wall. 一枚の絵が壁に掛かっている。
  5. She is a friend of mine. 彼女は私の友達です。

前置詞と組みになり、全体で前置詞の働きをする群前置詞があります。

  1. Thoughts are expressed by means of language. 思想は言語によって表現される。
  2. In spite of her illness she came to meet me at the station. 病気であるにもかかわらず、彼女は私を駅まで迎えに来ました。
  3. According to the paper, there was a fire near my friend’s house last night. 新聞によれば昨夜友人の家の近くで火事があったそうだ。

接続詞

並列接続詞

並列接続詞は対等の関係で語と語、句と句、文と文を結び付けます(例文1~4)。並列接続詞には、and, but, for, or, nor があります。

  1. Early to bed and early to rise makes a man healthy, wealthy, and wise. 早寝早起きは、人を健康に、豊かに、そして賢明にさせる。
  2. I love her, but she doesn’t love me. 私は彼女を愛しているのだが、彼女は私を愛していないのだ。
  3. He was not there, for he was ill. 彼は来ていなかった、というのも彼は病気だったから。
  4. Stop it now, or you get nothing to eat. すぐにやめなさい、さもないとご飯を食べさせませんよ。
  5. I speak neither Chinese nor Korean. 私は中国語も韓国語も話さない。

従属接続詞

従属接続詞は従属節を作ります(例文1~6)。従属節として、名詞節を作るものに、that, if, whether, where, when(例文1)があり、疑問詞の what, why(例文2), how も同様に名詞節を作ります。

従属節として、副詞節をつくるものに、as, after, because, (so) that, if, when, where, till(例文4), untill, sunce, unless, though, althought(例文3), lest, in case, as if, as though, even if, as long as, as soon as, than, whether…or, so…that, such…that, があります。

  1. I don’t know when he will be here. 私が彼がいつここに戻っているか知りません。
  2. This is why I met with her. これが私が彼女と会った理由だ。
  3. Although the car is old it still runs well. その車は古いけれど、まだよく走る。
  4. Please waittill he comes back. 彼が帰って来るまでお持ち下さい。

尚、時や条件を表す副詞節の中では、現在形を未来時制の代わりに用います(例文4)。

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