文の構造

文は思考や感情を言葉で表現する際の完結した内容を表す最小の単位です。 会話や文章では文を何度も作ってゆくことにより詳細な意志伝達を図ります。 ここではその文について全体の構造を整理します。 つまり文を構成する部品の配列の仕方についてです。 これに続く文法編の動詞成分、名詞成分、 副詞成分の各成分についての内容は、 文を構成する各部品の説明に当たります。

文の種類

文は一語またはそれ以上の語からなり、ひと区切りのまとまりある考えを示すものです。

語の構成による文の分類

語(または単語)は文を構成する最小の単位です。語の構成上、文は一つの語からなる文句からなる文節からなる文、の3つの種類に分類できます。

一つの語からなる文 一つの語だけで作られる文。
例) Thanks. ありがとう。
句からなる文 2つ以上の語で作られるがそこに主語と動詞の組みを含まない文。
例) Good bye. じゃあね。
節からなる文 主語と動詞の組みを含む文。
例) I love you. 私は君を愛している。

本サイトで「文」という言葉を用いる場合は、通常、節からなる文を想定しています。他の2種の文は、節からなる文を元にした省略表現、または慣用表現として扱います。

節の構成による文の分類

節は意味のかたまりをなす主語(名詞)と述語(動詞)との組です。文は、節の並べ方に着目することにより、単文重文複文混合文、の4つの種類に分類できます。

単文 一つ節からなる文。
例) I like her. 私は彼女が好きです。
重文 2つ以上の単文が、and, but, or などの並列接続詞で結ばれた文。
例) I like her, but she doesn’t like me. 私は彼女が好きなのですが、彼女は私が好きではありません。
複文 主節(主題となる節)に従属節(従属接続詞、関係代名詞、関係副詞に導かれる節)が付随している形の文。
例) When I was a child, I had to work always. 子どもの頃、私はいつも働かなくてはなりませんでした。
混合文 単文と複文、複文と複文が並列接続詞で結ばれた形の文。
例)When I was a child, I had to work always, but I had a kind girlfriend. 子どもの頃、私はいつも働かなくてはなりませんでしたが、優しい彼女がいました。

役割による分類

文は役割から、平常文疑問文命令文感嘆文、の4つの種類に分類できます。

平常文 ある事柄をそのまま述べる文。平常文には肯定的に断言をする肯定文と、否定の副詞 not などを用いて否定の内容を表す否定文がある。
例) I like her. 私は彼女が好きです。 / I don’t like her. 私は彼女が好きではない。
疑問文 質問や疑問を表す文。
例) May I help you? 手伝いましょうか?
命令文 命令・依頼を表す文。
例) Excuse me, please! すみません。
感嘆文 感嘆の気持ちを表す文。
例) How beautiful she is! 彼女はなんて美しいんだ!

語順

語の種類

語を働きによって分類したものを品詞といい、品詞には名詞動詞副詞代名詞形容詞前置詞接続詞感嘆詞、があります。

名詞 名を表す語。
動詞 動作・状態を表す語。
副詞 品詞によらず語を修飾する語。句や文全体を修飾することもある。
代名詞 名詞、名詞句、名詞節、文を指し示し、名詞と同じ扱いをする語。
形容詞 名詞を修飾する語。
前置詞 名詞の前において形容詞句、副詞句をつくる語。
接続詞 文中の各要素を結び付ける語。
感嘆詞 感嘆の表現に用いる語。

名詞は働きにより、さらに主語目的語補語、の3つに分類できます。

主語 文の主題となる名詞。
目的語 動詞の動作の対象となる名詞。(*動詞が目的語を2つ取る場合、事物を表す目的語を特に直接目的語、人を表す目的語を間接目的語といいます。)
補語 動詞の意味を完全に補う為の名詞。

文型

文を基本となる品詞の並べ方によって分類すると次の5つの型に分類できます。以下、S=主語(subject)、V=動詞(verb)、O=目的語(object)、C=補語(complement)、O=間接目的語(indirect object)、O=直接目的語(direct object)、とします。

第1文型 S+V I go.
第2文型 S+V+C She is a student.
第3文型 S+V+OD Everyone knows him.
第4文型 S+V+OI+OD I write her a letter.
第5文型 S+V+O+C He makes her happy.

定型の位置

定型とは語形変化を済ませた動詞、助動詞のことです。英語の文ではこの定型の位置が、主語の直後、もしくは直前かのどちらに決まっています。主語の直後に置かれる場合は、平常文(例文1、2、3)、感嘆文の場合(例文4)です。 従属節内でも定型は従属節内の主語の直後になります(例文3)。 定型を主語の直前で用いる場合は、疑問文の場合です(例文4、5)。

  1. I am a student. 私は学生です。
  2. He can not swim. 彼は泳げない。
  3. I don’t know how I can use this. これをどうやって使ってよいか私には分かりません。
  4. What a prety girl she is! 彼女はなんて可愛らしい少女なんだ!
  5. Do you want to go to England? イングランドへ行きたいですか?
  6. Where do you want to go? どちらへ行きたいのですか?

表現別構造

基本

英語で文を作る際の基本手順は、主題となる名詞成分を先頭に置き、次に動詞成分を置いて、その後に必要な情報を加えます。(例文1、2、3)

  1. I go. 私は行く。
  2. She is beautiful. 彼女は美しい。
  3. I lend him a book. 私は彼に本を貸します。

否定

否定文は否定を表現する文です。否定文では否定の副詞 not を用いて否定を表現します。be動詞を用いる文では not はbe動詞の直後に置きます(例文1)。一般動詞を用いる文では not は助動詞 do と共に動詞の直前に置きます(例文2)。完了の助動詞、未来の助動詞、主観の助動詞を用いる文では、not は助動詞の直後に置きます(例文3)。否定の副詞 not は、改まった文以外ではbe動詞や助動詞と結び付き -n’t という省略形でも多く用いられます(例文2)。

  1. I am not a student. 私は学生ではない。
  2. I don’t know who you are. あなたが誰だか知りません。
  3. I could not understand what you wanted to say. あなたが何を言おうとしているの分かりませんでした。

否定の冠詞 no(例文1)、及び否定の意味を持つ代名詞(例文2)や副詞(例文3)を用いて否定を表すことも出来ます。

  1. I have no idea. さっぱり分からない。
  2. Nobody knows my secret. 誰も私の秘密を知らない。
  3. He studies very seldom. 彼は滅多にべんきょうしない。

疑問

疑問文は疑問の内容を表す文です。文末は疑問の文であることを示す疑問符「」で終えます。疑問文には疑問詞を用いない一般疑問文(例文1、2)と、疑問詞を用いる補足疑問文(例文3、4)があります。一般疑問文には通常、yes, no で答えることが出来ます。一般疑問文は定型を文頭とし、補足疑問文は疑問詞を文頭としますが、いずれにしても定型は主語の直前です。
be動詞以外の一般動詞を疑問文に用いる場合は、助動詞 do と共に用います。疑問詞には疑問代名詞 who, what, which 疑問副詞 when, where, why, how 及び疑問形容詞 which 等があります。

  1. Are you a student? あなたは学生ですか?
  2. Do you know him? あなたは彼を知っていますか?
  3. Why are you reading the book? なぜあなたはその本を読んでいるのですか?
  4. Why do you know him? なぜあなたは彼を知っているのですか?

命令

命令文は話し相手に対し命令を表す文です(例文1)。使い方によれば誘いやお願いの意味を持ちます(例文2)。命令文の動詞には命令法を用い文頭に置きます(例文1、2)。特に強い命令を表す場合は感嘆符「」で終えます(例文1)。命令文では対象が二人称であると決まっている為主語を省き、結果、動詞が先頭となります。

  1. Shut your mouth! 黙れ!
  2. Have a cup of tea. お茶をどうぞ飲んでください。

感嘆

感嘆文は、感嘆の気持ちを表す主観的な文です。通常は感嘆符「」で終えます。疑問詞を用いた感嘆文の場合、疑問詞と共に形容詞・名詞・副詞などを文頭に出します(例文1、2)。疑問詞を用いない場合は構造として平常文と変わりません(例文3)。実際には主語も動詞も省略し表現することも頻繁にあります(例文4、5)。

  1. What a beautiful girl she is! 彼女はなんて美しい娘なんだ!
  2. How nice this is! これはなんて素敵なんだ!
  3. That’s good! それは良い!
  4. What a pity! なんて気の毒なんだ!
  5. How nice! なんて素敵なんだ!

時制

英語には 現在過去未来 の3つの基本時制があります。それぞれ 現在・過去 は動詞の形によって表現し、未来の表現には助動詞 will を用います。また、このそれぞれに、助動詞 have と動詞の過去分詞から作られる完了形、be動詞 と動詞の現在分詞から作られる進行形が組み合わさり、合計12の時制表現(表1)を持つことになります。時制表現のそれぞれは、現在形、過去形、未来形、現在完了形、過去完了形、未来完了形、現在進行形、過去進行形、未来進行形、現在完了進行形、過去完了進行形、未来完了進行形、と呼びます。

完了形 進行形 完了形+進行形
現在形 She studies. She has studied. She is studying. She has been studying.
過去形 She studied. She had studied. She was studying. She had been studying.
未来形 She will study. She will have studied. She will be studying. She will have been studying.

英語では、主節の述語動詞と従属節の述語動詞は、通常一致している必要があります。これを時制の一致と言います。但し、主節の動詞成分が現在時制・未来時制の場合には、時制の一致は起きません。下は英語と日本語との間の時制の対応例です。

  1. I think he is there. 彼はあそこにいると思います。
  2. I thought he was there. 彼はあそこにいると思いました。
  3. I think he will come. 彼が来るだろうと思います。
  4. I thought he would come. 彼が来るだろうと思いました。
  5. I think he has already come back. 彼はすでに帰っていると思います。
  6. I thought he had already come back. 彼がすでに帰っていると思いました。
  7. I think he was there. 彼はあそこにいたと思います。
  8. I thought he had been there. 彼はあそこにいたと思いました。

受動

受動文は、「…される」という受身の意味を表す文です。動詞の過去分詞とbe動詞の組み合わせを基礎としてつくります(例文1)。能動文の主語に当たる動作主(行為の主体)を表すときは「by + 目的格」を用います。能動文の主語が動作主ではなく原因や手段であるならば by 以外にも at(例文2) や with(例文3) を用いることがあります。

  1. He was praised by his father. 彼は父親に誉められました。
  2. We were very surprised at the fact. 私達はその事実に大変驚かされました。
  3. The top of the mountain was covered with snow. その山の頂上は雪に覆われていました。

受動には、状態の受動(例文1、2)と、動作の受動(例文3、4)とがあり、動作の受動であることをはっきりと示す為に、be動詞の代わりに get や become などを用いて受動態を作ることがあります。

  1. She is married to a doctor. 彼女は医者と結婚しています。
  2. She got married last year. 彼女は去年結婚しました。
  3. He is known to everybody. 彼は皆に知られています。
  4. He became known to everybody. 彼は皆に知られるようになりました。

比較

比較文は二つ以上のものの程度を比較する文です。比較文には、原級の文比較級の文最上級の文の3種類があります。原級の文は二つのものを比較して同程度であることを示す文で(例文1)、通常、「 so(as)+形容詞 または 副詞+as 」の形を用います。またこのとき、so(as) の前に half, twice などを置くと、倍数関係が表現できます(例文2)。比較級の文は程度に違いがあることを示す文で(例文3)、「 比較級+than 」の形を用います。最上級の文はあるものを複数のものと比べ程度が最も大きいことについて述べる文で、通常「最上級+前置詞」の形を用います(例文4)

  1. Our city is so large as London. 私達の町はロンドンと同じ大きさです。
  2. Our city is just half so large as London. 私達の町はロンドンの半分の大きさしです。
  3. London is larger than Leeds. ロンドンはリーズより大きいです。
  4. London is the largest in the British cities. ロンドンはイギリスの都市の中で最大です。

強調

強調の文はある語を特に強調する文です。be動詞以外の動詞を強調する場合には、その前に強く発音される助動詞 do を置きます(例文1)。副詞、副詞句を特に強調する場合は、それらを文頭に出し、続けて助動詞 do を主語の直前に置きます(例文2)。目的語を強調する場合は目的語を文頭に出します(例文3)。

  1. I did see a space alien in the mountain. 僕は本当に山で宇宙人を見たんだ。
  2. Never did he say something again. 彼は再び何かを言うことはなかった。
  3. This I believe. これを私は信じているのです。

引用

引用の文はある他者の発話や考えを引用して述べる文です。引用の文には引用符を用い元の言葉通りに伝える直接引用文(例文1)と、引用者の立場から言いなおして間接的に伝える間接引用文(例文2)とがあります。間接引用文では引用内容を表す節内の動詞を主節の時制に一致させます。

  1. He said, “I am crazy.” 彼は「私は狂っている」と言いました。
  2. He said, he was crazy. 彼は自分は狂っていると言いました。

形式のit

形式主語

特定の事物などを表すのではなく、単に形式的な主語として it を用いることがあり、この it を非人称主語と呼びます。主に自然現象を表す場合(例文1)、時刻(例文2)・距離(例文3)・天候(例文4)等を表す場合に用います。またto不定詞句(例文5)や節(例文6、7)を指す形式主語としても用いられます。

  1. It is raining. 雨が降っています。
  2. It is three o’clock. 3時です。
  3. How far is it to the airport? 空港まではどのくらいの距離ですか?
  4. It will be very cold this night. 今夜は寒くります。
  5. It is natural for him to say so. 彼がそう言うのは当然です。
  6. It seems that he was ill. 彼は病気だったらしいです。
  7. It is doubtful whether he will come or not. 彼が来るかどうかは分かりません。

形式目的語

形式目的語の it は後に続く不定詞句(例文1)、動名詞句(例文2)、および節(例文3)などを受けます。

  1. I found it difficult to finish the work in a week. 私はその仕事を一週間でやるのは難しいと分かりました。
  2. They took it for granted that we would give them money. 彼らは我々が当然彼らにお金をあげるものだと思っていました。
  3. She found it great fun teaching something to children. 彼女は子ども達に何かを教えることはとても楽しいと気付きました。

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