コンプレッサー

コンプレッサーは、音量のダイナミクス(音の強弱)を調整する機能を持ちます。具体的には、音が大きすぎる場合はそれを抑え、音が小さすぎる場合はそれを持ち上げることで、全体の音量を均一に保ちます。これにより、音の粒立ちが揃い、より一貫したサウンドが得られます。

基本的な役割

  • 音量の均一化:音量のピークを抑えることで、大きすぎる音を制限し、逆に小さい音を持ち上げて全体的な音量を均一にします。これにより、演奏のばらつきが少なくなり、聴きやすい音になります。
  • サステインの増強:音が減衰する速度を遅くし、音が長く続くようにします。これにより、特にクリーントーンのサウンドで音の持続時間を延ばすことができます。
  • 音の明瞭化:音のアタック部分を強調することで、はっきりとしたクリアな音を得ることができます。特にファンキーなカッティングやピッキングのニュアンスを強調するのに有効です。
  • ミックスの向上:バンドや録音の中で他の楽器と調和しやすくなります。音量のピークが抑えられるため、ミックス全体のバランスが取りやすくなります。

パラメータ

  • スレッショルド (Threshold):コンプレッションを開始する音量のレベル。
  • レシオ (Ratio):スレッショルドを超えた音量をどの程度圧縮するかの比率。
  • アタック (Attack):圧縮が開始されるまでの時間。
  • リリース (Release):圧縮が解除されるまでの時間。
  • ゲイン (Gain):圧縮後の音量を調整するための出力レベル。

音作りの手順例

  1. 初期設定
    Thresholdを適切に設定し、どのくらいの音量からコンプレッションを開始するかを決めます。
    Ratioを設定して、どの程度の圧縮を行うかを決めます。一般的には、2:1から4:1の範囲が自然な圧縮を提供します。
  2. アタックとリリースの調整
    Attackを短くすると、ピッキングのアタックが強調されます。ファンキーなカッティングなどでは短めに設定します。
    Releaseを設定して、圧縮後の音がどれくらいの速さで元に戻るかを調整します。自然なサウンドを求める場合は、音の持続時間に応じてリリースタイムを設定します。
  3. アウトプットゲインの調整
    圧縮後の音量が下がるため、Output Gainを使って全体の音量を適切なレベルに引き上げます。
  4. 微調整
    演奏しながら各パラメータを微調整し、求めるサウンドを得ます。特に、アタックとリリースのタイムは楽曲や演奏スタイルによって変わるため、実際の演奏に合わせて設定します。

実際の設定例

  • リードギターやソロ
    • Threshold: 中程度
    • Ratio: 3:1 – 4:1
    • Attack: 中程度
    • Release: 遅め
    • Output Gain: 必要に応じて調整
  • カントリーやクリーントーン
    • Threshold: 中程度
    • Ratio: 2:1 – 3:1
    • Attack: 短め
    • Release: 中程度
    • Output Gain: 必要に応じて調整
  • ファンキーなリズムギター
    • Threshold: 低め
    • Ratio: 4:1 – 6:1
    • Attack: 短め
    • Release: 速め
    • Output Gain: 必要に応じて調整

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