Delay系エフェクターとは何か
Delay系エフェクターは、入力信号を一定時間遅らせて再生することで、エコーや反響効果を生み出すエフェクターです。これにより、音に空間感や深みを与えることができます。Delay系エフェクターは、様々な音楽ジャンルで使用され、特にギターやボーカルなどで頻繁に利用されます。
主な種類と役割
- Analog Delay(アナログディレイ)
- アナログ回路を使ったディレイで、温かみのある自然なエコー効果を生み出します。反復音が徐々に音質が変化し、独特のキャラクターを持ちます。
- Digital Delay(デジタルディレイ)
- デジタル技術を使ったディレイで、クリアで精確な反復音を再生します。様々な設定が可能で、多機能なものが多いです。
- Tape Echo(テープエコー)
- テープレコーダーを利用した古典的なディレイ効果で、アナログディレイよりもさらに独特な音質とウォームなサウンドを持ちます。テープの摩擦や劣化による特有の音が特徴です。
- Multi-tap Delay(マルチタップディレイ)
- 複数のディレイタップ(遅延ポイント)を持ち、異なる時間間隔で複数の反復音を生成するディレイです。複雑なリズミカルなエフェクトを作り出すことができます。
- Ping-Pong Delay(ピンポンディレイ)
- 左右のチャンネル間で反復音が交互に移動するディレイで、ステレオ効果を強調します。立体感のあるエフェクトを作り出します。
主なパラメータ
- Delay Time(ディレイタイム)
- オリジナル音と反復音の間の時間を設定します。短いディレイタイムはスラップバックエコーを、長いディレイタイムは広がりのある空間を作り出します。
- Feedback(フィードバック)
- 反復音の数を設定します。フィードバックが高いと、反復音が多くなり、長いエコーが得られます。
- Mix(ミックス)または Wet/Dry(ウェット/ドライ)
- オリジナル音とディレイ音のバランスを調整します。ウェットが多いとディレイ音が強調され、ドライが多いとオリジナル音が強調されます。
- Modulation(モジュレーション)
- 反復音に対してピッチやフィルターの変化を加えるパラメータ。ディレイ音に揺れやコーラス効果を加えることができます。
- Tap Tempo(タップテンポ)
- ボタンをタップすることでディレイタイムを設定できる機能。演奏中にテンポに合わせたディレイを簡単に設定できます。
音作りの手順例
- 基準音の設定
- ディレイをオフにして、クリーンな基準音を設定します。これにより、ディレイを加えた際の違いが明確になります。
- ディレイタイムの設定
- ディレイタイムを調整して、オリジナル音と反復音の間の時間を設定します。最初は短めに設定し、徐々に調整します。
- フィードバックの設定
- フィードバックを設定して、反復音の数を決めます。最初は中程度に設定し、必要に応じて調整します。
- ミックスの調整
- オリジナル音とディレイ音のバランスを調整します。エフェクトが強すぎると音が不自然になるため、適度なバランスを見つけます。
- モジュレーションの設定(必要に応じて)
- 反復音にモジュレーションを加えることで、ディレイ音に揺れや独特のキャラクターを付加します。
実際の設定例
- スラップバックエコー(短い反復)
- ディレイタイム: 80ms
- フィードバック: 10%
- ミックス: 50%
- モジュレーション: なし
- 標準的なディレイ
- ディレイタイム: 400ms
- フィードバック: 40%
- ミックス: 40%
- モジュレーション: なし
- 長いエコー(広がりのある空間)
- ディレイタイム: 800ms
- フィードバック: 70%
- ミックス: 50%
- モジュレーション: あり(軽く)
- ピンポンディレイ
- ディレイタイム: 500ms
- フィードバック: 50%
- ミックス: 50%
- ピンポンモード: オン