#05 ディレイ(Delay)系エフェクターを知ろう

Delay系エフェクターとは何か

Delay系エフェクターは、入力信号を一定時間遅らせて再生することで、エコーや反響効果を生み出すエフェクターです。これにより、音に空間感や深みを与えることができます。Delay系エフェクターは、様々な音楽ジャンルで使用され、特にギターやボーカルなどで頻繁に利用されます。

主な種類と役割

  1. Analog Delay(アナログディレイ)
    • アナログ回路を使ったディレイで、温かみのある自然なエコー効果を生み出します。反復音が徐々に音質が変化し、独特のキャラクターを持ちます。
  2. Digital Delay(デジタルディレイ)
    • デジタル技術を使ったディレイで、クリアで精確な反復音を再生します。様々な設定が可能で、多機能なものが多いです。
  3. Tape Echo(テープエコー)
    • テープレコーダーを利用した古典的なディレイ効果で、アナログディレイよりもさらに独特な音質とウォームなサウンドを持ちます。テープの摩擦や劣化による特有の音が特徴です。
  4. Multi-tap Delay(マルチタップディレイ)
    • 複数のディレイタップ(遅延ポイント)を持ち、異なる時間間隔で複数の反復音を生成するディレイです。複雑なリズミカルなエフェクトを作り出すことができます。
  5. Ping-Pong Delay(ピンポンディレイ)
    • 左右のチャンネル間で反復音が交互に移動するディレイで、ステレオ効果を強調します。立体感のあるエフェクトを作り出します。

主なパラメータ

  1. Delay Time(ディレイタイム)
    • オリジナル音と反復音の間の時間を設定します。短いディレイタイムはスラップバックエコーを、長いディレイタイムは広がりのある空間を作り出します。
  2. Feedback(フィードバック)
    • 反復音の数を設定します。フィードバックが高いと、反復音が多くなり、長いエコーが得られます。
  3. Mix(ミックス)または Wet/Dry(ウェット/ドライ)
    • オリジナル音とディレイ音のバランスを調整します。ウェットが多いとディレイ音が強調され、ドライが多いとオリジナル音が強調されます。
  4. Modulation(モジュレーション)
    • 反復音に対してピッチやフィルターの変化を加えるパラメータ。ディレイ音に揺れやコーラス効果を加えることができます。
  5. Tap Tempo(タップテンポ)
    • ボタンをタップすることでディレイタイムを設定できる機能。演奏中にテンポに合わせたディレイを簡単に設定できます。

音作りの手順例

  1. 基準音の設定
    • ディレイをオフにして、クリーンな基準音を設定します。これにより、ディレイを加えた際の違いが明確になります。
  2. ディレイタイムの設定
    • ディレイタイムを調整して、オリジナル音と反復音の間の時間を設定します。最初は短めに設定し、徐々に調整します。
  3. フィードバックの設定
    • フィードバックを設定して、反復音の数を決めます。最初は中程度に設定し、必要に応じて調整します。
  4. ミックスの調整
    • オリジナル音とディレイ音のバランスを調整します。エフェクトが強すぎると音が不自然になるため、適度なバランスを見つけます。
  5. モジュレーションの設定(必要に応じて)
    • 反復音にモジュレーションを加えることで、ディレイ音に揺れや独特のキャラクターを付加します。

実際の設定例

  • スラップバックエコー(短い反復)
    • ディレイタイム: 80ms
    • フィードバック: 10%
    • ミックス: 50%
    • モジュレーション: なし
  • 標準的なディレイ
    • ディレイタイム: 400ms
    • フィードバック: 40%
    • ミックス: 40%
    • モジュレーション: なし
  • 長いエコー(広がりのある空間)
    • ディレイタイム: 800ms
    • フィードバック: 70%
    • ミックス: 50%
    • モジュレーション: あり(軽く)
  • ピンポンディレイ
    • ディレイタイム: 500ms
    • フィードバック: 50%
    • ミックス: 50%
    • ピンポンモード: オン

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