目的に合ったWebサーバーサービスが選択できるよう、Webサーバーについての基礎知識を整理します。
Webサーバーの役割と性質
Webサーバーとは、文字通りWebサイトを公開するための専門のサーバーのこと。ここでいうサーバーとは、PCやスマホなどのクライアントからのリクエスト(要求)に対し、自分の持っている情報を提供する役割を持つコンピューターを意味します。
私は学生の頃、Windows + AN HTTP、Vine Linux + Apache といった構成で、Webサーバーを自宅から公開していたことがあります。自分専用のサーバーなので、制約もなく自由に検証ができてなかなか楽しいものでした。一般的なインターネットユーザーは、クライアントの立場がほとんどかと思いますが、インターネット回線とPC、そしてネットワークに関する少々の知識があれば、自分のPCをサーバーとして公開し運用することも難しくはありません。
しかしこのような自宅からのサーバーの公開は、よほど面倒なことが好きなネットワークマニアではない限りオススメできることではありません。
なぜなら、サーバーはその役割を実現させるための管理だけではなく、セキュリティに対しても神経をすり減らします。セキュリティの甘いサーバーを不用意に公開してしまうと、悪意のある人間に犯罪行為の踏み台として利用されてしまう可能性もあります。
サーバーは原則的に1日中起動したままで運用するので電気代もばかになりません。その他にもバックアップや停電時の対策など手間をかける要素は多分にあります。
こうしたことを考えると、Webサイトを公開するにはWebサーバー専門の会社が管理するサーバーを借りることが得策だといえます。このようなサービスをホスティングサービスと呼びます。
ホスティングサービスのプラン
ホスティングサービスには、公開しようとしているWebサイトの用途や規模に応じていろいろなプランがあります。以下、代表的なプランは以下の通りです。
共有サーバー
これが最も一般的なプラン。1台のサーバーを複数のユーザーで共有する、住宅でいえばマンションのようなサーバーの使い方です。1台のサーバーを複数人でシェアするので、価格も手頃です。
専用サーバー
自分だけで1台のサーバーを専有するプラン。住宅でいうと一戸建てを借りるイメージです。独自のWebサービスを展開するなど、サーバー負荷の大きい使い方をする場合のプランです。
VPS(virtual private serve:仮想専用サーバー)
共用サーバーと専用サーバーが合わさった概念のプラン。物理的には1台のサーバーを複数のユーザーで共有するのですが、仮想的にサーバーのリソースが区切られ、利用者間でリソースを奪い合うことはありません。物理的にはサーバーをユーザー間で共有するため、専用サーバーよりは価格メリットがあります。
クラウドサーバー
最も新しいタイプのプランです。VPSに似ていますが、仮想サーバー内で割り当てるサーバーリソースを柔軟に変更できます。
ホスティングサービス選択のポイント
個人や中小企業などで通常のWebサイトの公開を想定する際は、「共用サーバー」のプランで十分です。メールを使いたい人も通常はメールサーバーもセットで提供されるので心配は要りません。
これからWebサイトを立ち上げようと考えているのであれば、最もリーズナブルなプランからの検討で問題はないはずです。最近提供されているサービスでは、よほど重い画像を大量に用いたり大規模なボリュームのWebサイトでない限り、入門プランでも容量や機能を使い切るようなことはまずあり得ません。
留意すべきは、選択しようとしているプランがDBやPHPの利用が可能なサーバーが使えるか否か。WordpressのようなCMSをサーバーに導入したいとするとDBとPHPは必須です。使えるDBの個数はプランにより変わりますが、CMSを使ったWebサイトを5つ以上同時に運用する規模を想定しない限りは、DBは1つで十分です(一つのDBで複数CMSの運用が可能。)
また転送量の限度目安についても気になりますが、月間で15万PVくらいのアクセスが見込まれるようなWebサイトでない限り、特に上位のプランを検討する必要はないでしょう。上位プランをあれこれ考える前に、有用なコンテンツを制作することにまずは集中すべきです。
ホスティング会社選択のポイント
当然ですが、ホスティングサービスの選択時には、提供する会社が信頼に値する会社かどうかは確かめたいものです。
サービスの提供に歴史があり、ユーザー同士での共有情報も多く、各種のマニュアルが整備されているなど、会社のサポート体制がしっかりしているところを選びましょう。
運用・管理がしっかりとしていなければ、リスクマネジメントに対してもいい加減であり、サーバーの障害発生率や、復旧までの対応に不満が出てくることになるでしょう。
ホスティングサービスのバリューサーバー
このサイトではバリューサーバーを使っています(2018年5月現在)。他社サービスと比較してもリーズナブルで、サーバーも比較的自由度が高く高機能です。
しかしこのサービスが万人に勧められるものかということ、そうでもないというのが正直なところ。初心者向けのマニュアル類ももちろん揃っていますが、全体的に統一性がなく分かり易さに欠けているのは否めません。また自由度が高くいろいろなことができるからこそ、設定が複雑に感じられるところも多分にあります。
バリューサーバーは、ある程度Webやネットワークについての知識があり、細かな設定についても調べることが苦でなければ、安価で自由度が高いという点から納得のできるサービスであるといえでしょう。