第01回:プロジェクトとは何か?

皆さんは「プロジェクト」という言葉を聞いたことがありますか? ビジネスの現場だけでなく、日常生活の中でも耳にする機会があるかもしれません。この連載ブログでは、皆さんがプロジェクトマネジメントの基礎をしっかりと理解し、身の回りの出来事や仕事においても役立てられるようになることを目指します。

第01回目となる今回は、「プロジェクトとは一体何なのか?」 という最も基本的な疑問について、一緒に探求していきましょう。

私たちの周りにあるプロジェクト

皆さんの身の回りには、「これまでなかった新しいもの」がたくさん存在しているはずです。例えば、

  • 新しく発売されたスマートフォンや家電製品
  • 私たちの生活を便利にする新しいソフトウェアやアプリケーション
  • 街にできた新しい建物や道路
  • 企業が提供を開始した新しいサービス

これらの「新しい何か」は、多くの場合、「プロジェクト」 と呼ばれる活動を通じて生み出されています。

プロジェクトの基本的な定義

では、具体的に「プロジェクト」とはどのようなものなのでしょうか?「PMBOK®ガイド 第7版」では、プロジェクトを明確には定義していませんが、内容を読み解くとプロジェクトとは概ね以下のように理解することができます。

プロジェクトとは、独自の成果物やサービス、結果を生み出すために行われる、一時的な取り組みのこと。

この定義には、いくつかの重要なキーワードが含まれています。

  • 独自の:「普段の仕事」は、日々のルーティンワークのように、繰り返し行われる活動が多いのに対し、プロジェクトは他に類を見ない、新しい何かを生み出すことを目的としています。それは、目に見える製品であったり、新しいシステムやサービスであったり、あるいはこれまでになかった新しい知識や能力であったりします。
  • 一時的:プロジェクトには、明確な始まりと終わりがあります。いつまでも続くわけではなく、目標とする成果物を完成させる、あるいはプロジェクトの目的が達成された時点で終了します。この点が、継続的に行われる業務とは大きく異なります。
  • 取り組み:プロジェクトは、計画を立て、資源(人、お金、時間など)を投入し、様々な活動を実行することで進められます。

普段の仕事とプロジェクトの違い

ここで、「普段の仕事」と「プロジェクト」の違いを、具体的な例を挙げて考えてみましょう。

普段の仕事 プロジェクト
毎日のメール対応 新しい顧客管理システムの導入
月次で行う売上報告書の作成 新しいマーケティングキャンペーンの企画と実行
製品に関する顧客からの問い合わせ対応 新しい製品ラインナップの開発
定期的なシステムのメンテナンス 既存システムの全面的な刷新

普段の仕事は、日々の業務を円滑に進めるために、定められた手順やルールに従って継続的に行われます。一方、プロジェクトは、特定の目標を達成するために、期間限定で、新しいやり方や資源を投入して行われるという点が異なります。

なぜプロジェクトマネジメントが重要視されのか?

現代社会は、技術革新のスピードが非常に速く、市場や顧客のニーズも常に変化しています。このような状況において、企業や組織が生き残り、成長していくためには、変化に迅速に対応し、新しい価値を創造し続けることが不可欠です。

プロジェクトは、まさにこの「新しい価値の創造」を実現するための主要な手段となります。企業は、市場の変化を捉え、新しい製品やサービスを開発したり、業務プロセスを改善したりするために、様々なプロジェクトを立ち上げます。

また、グローバル化が進み、様々な文化や専門性を持つ人々が協力して仕事をする機会が増えています。このような複雑な状況下でプロジェクトを成功させるためには、効率的に計画を立て、チームをまとめ、リスクに対応するといった、高度なプロジェクトマネジメントの知識とスキルが求められるようになっています。

まとめ

今回の記事では、プロジェクトの基本的な定義と、普段の仕事との違い、そしてプロジェクトマネジメントが現代において重要視される背景について解説しました。

プロジェクトとは、独自の成果物やサービス、結果を生み出すための、始まりと終わりのある一時的な取り組みであり、私たちの身の回りにある「新しい何か」は、多くの場合プロジェクトを通じて生まれています。社会や技術が急速に変化する現代において、プロジェクトを成功に導くための知識とスキル、すなわちプロジェクトマネジメントは、ますますその重要性を増しています。

次回の記事では、プロジェクトマネジメントの知識体系である『PMBOK® ガイド第7版』そのものについて、詳しく解説していきます。

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